第四回 鋼彈模型大賞

4回目を迎えた台湾角川主催のガンプラコンテスト
例年は2月に行われる台北ブックフェアの同社のブースで行われているのだが
今年はG.B.T.(GUNDAM BASE TAIPEI)の1周年ということで会場をG.B.T.として開催された

最大40cm×40cmのベース内で作ることというレギュレーションに従い
1/1から3/31までの告知期間を経て応募された作品は写真応募も含めて
総数83作品


ちょっと気になる作品

ブースター付きギャプランは工作精度は高めなのだが、塗装がもうちょっと頑張ろう!な感じ
胸部やバインダーの迷彩というのは表現としては面白い

白と黒をメインカラーとしたフリーダムは1/100スケール
翼に大判のデカールを貼り込んであるのだが段差の所で浮いていたり捻れが出ていたりと
全体の仕上がりが良いだけにちょっと惜しい

サイドカーに乗っているのはPGのストライクと78ガンダム
発想は面白いのだが素組みのMS2体にもう少し作り込みがあると作品として目を引くものになっただろう

ジャブローのあのシーンをイメージして作られたディオラマはズゴックのボディにゴッグの頭が不思議と似合っている
身体を捻るなりモノアイの位置をGMに向けるなりして相対する位置関係がとれれば結構良い作品になったように思う

細部まで作り込まれたNT-1
俺アレンジが随所に盛り込まれているが全体のバランスは良くとれている
ディティールの追加にあたりシンメトリーが崩れているところも見られるのが残念だが
時間をかけて丁寧な作業が施されれば十分に入賞圏内と言える

黄色いアクセントが随所に施されたフリーダム
工作、塗装共に丁寧な仕上がりで良いのだが、各色の発色が良いとかなり目立つ作品になると思われる

白からブルーのグラデーションを施したドラグーンを背負うストライクフリーダムは
細部のディティール追加など工作面でも工夫が凝らされているが、ちょっと粗さが残っているのが惜しい

死神的なイメージを強調したデスサイズ
蝙蝠的な翼やポーズの含めた全体の雰囲気は良いのだが全体に仕上げが粗いので時間をかけて丁寧に作り込むと面白い作品になりそうだ

会場に入りすぐに「おぉっ!」っという感じで目についたメタス
寄って見るとGKを仕上げたものだった
機体色の黄色の色具合が実にいい感じで各部に施されたディティールも良くこなれている
別にGKでの出品はNGということではないが、作者なりの作品として仕上げる素材としてみた場合
原型氏の作風、個性が強ければ強いほどハンデとなるのではなかろうか

台座を上手く使ったジャスティスはポーズの取り方も全体の構図も良く出来ている
サーベルを持つ右腕の芝居とやや浮き気味に見えてしまう首の角度をいじるともっと良くなるのではなかろうか

基本色黒で幅広の白いラインを入れたセイバーガンダムは女性の作品だったと思うが
そんなことはどうでもいいくらいに良く出来ている
ポーズのつけ方ということでは右腕は後ろに下げ気味にして胸を張るような位置関係が出来ると
ライフルを構えるポーズの収まりが良くなる

シャア専用リックドムは後ろに電池が見えているが、モノアイや胸部拡散ビーム等が発光するようになっている
仕上げは少々粗いが、作者さんなりのシャア専用リックドムのこだわりが随所に見られる

ややおとなしめポーズではあるがHGUCのZガンダムは丁寧な工作と塗装で非常に良い仕上がりの作品
ここまで仕上げられるのであれば作品としてのテーマが感じられるとなお良かろう

フリーダムベースにアストレイのタクティカル・アームズを2本付けるというバンダイ的には大変有難い作品
背負い物のボリュームが大きいのでそれが最大限活かされる見せ方は一考の余地はあるのではないか

1/100デスティニーをベースに写真では判りにくいがシルバー系の塗装で仕上げた作品はジュニア部門の作品なのだが
改造の方向がわかり易く観る者へのアピールも高い
やや作りに粗い所もあるが今後が楽しみな作者さんではある

入賞作品をもう少し細かく見てみよう

ジュニア部門1位のHGシグー
透明シールの余白がそのままだったりと細かいところを気にし始めるともっと良くなる余地はあるが
機体色の金色の発色、スミ入れの具合など全体の仕上がり感はジュニア部門の中でも他作品よりも頭一つ飛び抜けている
80余点のコンテスト作品の中にあって作品としての存在感が際立っている一品ではある

ジュニア部門2位のデスティニーは機体色の青、赤の部分をグレイ系に置き換えて彩色を施しているが全体の色合いも良い
大剣を構えるポーズの取り方も上手くドラマチックな印象が感じられる
このようなポーズをとらせた場合、肩アーマーの内側など楽屋裏が見えてしまう場合も多いので
そうした所を中心にディティールを追加してやると見せ場が増えスケール相応の密度が得られる


ジュニア部門3位のブリッツは工作、塗装共にしっかりと基本を抑えた作りで好感の持てる作品
明るいグレイで施したスミ入れがややうるさい感じもあるのでもう少し濃いグレイで施すと良かったのではないか
ポーズの付け方も「何をしている」或いは「何をしようとしている」
といったことが感じられるような意識がされていると良い


一般部門1位の1/100 Ex-Sガンダムは審査員全員一致で文句なしの1位
大型モデルの見せ場としての細部のディティール追加を含む工作や作者さん独特の塗装で
仕上げに関しても圧倒的な存在感を漂わせている
その迫力も含め、写真では作品の仔細が伝わらないのが何とも残念ではあるが
細部の攻め方は上のアップ画像を、全体の雰囲気はそれに続く写真で感じていただきたい
どのくらいの時間をかけて作られたものなのかを確認しなかったが
作者さんの個性が十二分に感じられる素晴らしい作品と言える

MGベースで作られた1/100百式改が今回の一般部門の2位
スケールの大きさに対し機体色の金が単調に見えてしまうのが惜しいところ
新造パーツ個々に関してもちょっと箱組みチックな印象があるので余計にそう見えるのかもしれない
部位により金色の色合いを変えたりツヤの具合を変えたりといった気の使い方でかなり見え方が変わってくると思う
と、難点ばかりをあげつらうようで申し訳ないが完成度自体はかなり作品ではある

一般部門3位の1/144 ガンバレルダガー
ダガーのくせに・・・と思わず言ってしまうほどヒロイックな仕上がりが良い
流用パーツを使用する場合、元ネタに引きずられたり大きさ、形が上手く馴染まなかったりと思いの外苦戦することがある
この作品では形もそのままというパーツが見られるが全体によく馴染んでいてあまり違和感はない
グラデーションの色変化のギャップがキツ過ぎるきらいはあるが青の色味やオレンジの効き具合にセンスが感じられる

バンダイ賞をお送りしたセンチネル風味のゼクアインとガンキャノン量産型
マーキングのサイズがやや大きく&多いため、うるさく見えてしまうところもあるが
ポイントを押さえて全体のバランスをとっていくとかなりスッキリするんではなかろうか
作品としての雰囲気はかなり良い

ガンダムエース賞をお送りしたのはMGのガンキャノンとグフを使用したディオラマ作品
ベースに対して乗せものが窮屈に見えるのがやや難で、個々のポーズもちょっと不自然な感じが否めない
チッピングの嘘っぽさはあるがMS単体の仕上げもしっかりしており
構図的には08小隊のノリス・グフのような上下方向での見せ方でも良かったのではなかろうか

カワグチ賞をお送りしたジュアッグはディオラマ仕立てになっている
ダメージの作り込みやドライブラシによるMSの塗装効果が実にオサーン好みな作品
惜しむらくは全体が均質な感じの仕上がりで
外装もダメージからのぞく内部メカも同じような質感になってしまったというところがちょっと残念

一般部門新人賞は1/100ヘビーア−ムズ
工作、塗装ともに一級品で新人賞とはいうものの、他のコンテストでそれなりにキャリアを積んだ作者さんでは・・・
と思わせる仕上がりでなかなかよろしい
肩アーマー部の小型ミサイルなどは塗装やマーキングでその存在を際立たせると良かったように思える

ドライブラシで仕上げられたMGグフは鈴木ムキ丸審査員賞
ちょっとダメージの具合とドライブラシの筆跡が気になるところだが
機体に施された迷彩もよく馴染んでいて基本の確かさが伺える

全方位賞に選ばれた1/144ザクウォーリア
迷彩パターンは細筆手描きで表現されているが
様々な作品が並ぶ中でMSの姿が認識しづらいという現実もあり、或る意味見事な迷彩効果ではある


今回は時期的な効果もあり前回に倍する作品の応募となったが
それなりのキャリアのある作者さんの応募により質的水準はかなり高めであったように思われる
本レポートでは掲載していないがHGUCのデンドロ、Gコレのムサイを作った人もあり
コンテストに向けたエネルギーが実感できるコンテストではあった

コンテスト未経験者がハードルの高さを感じるのではないか、というような危惧も抱かないではないが
その辺は様々な形でフォローしていきたいとは思う
そういう意味ではGBTで開催されたということにやはり意義があり
消費者が常時接することが出来る場で「ガンプラ作ってると良いことがあるかもしれない」と思ってもらえる可能性もある

良い作品を見ることは刺激にもなるし作るモチベーションを上げる効果も持っている訳だが
写真ではなく現物を目の当たりにすることが出来る環境というのも
GBTという有形無形の情報発信ベースがあれば可能となる
BAKACで各国代表と競った作品がGBTに置けるようであればその効果は絶大であろう

刺激を自分の力に変えるアシストをGBTやバンダイ台湾スタッフ諸氏には是非お願いしたいものである


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